超効率的! 店主ひとりで大量の客をさばく洋食屋の話
都内にある洋食屋があります。美味しいと評判なので食べに行きましたが、そこで私はそのお店の素晴らしい効率化に感心しました。
そもそも日本で生産性をトコトンまで極めているのは生産現場の工場だけだと言っても過言ではありませんが、まさかフラッと入った飲食店で究極の効率化を見るとは思いもしませんでした!
目次
サービス業は接客が命だけど…
私が見渡す限り、飲食業界はあまり合理的に仕事をしているように思えません。
2人で済む厨房に5人も入っていたり、オーダーしてもなかなか料理が来なかったりで、バタバタ慌ただしくやっているイメージがあります。
実際、私は学生時代に飲食店のアルバイトを経験しているので「ここは2人で大丈夫だろう」とか「この仕組みは面倒が多いな」と感じていましたが、それらと同じ光景を目の当たりにすることがとても多いのです。
これは飲食店に限らずサービス業では効率よりも丁寧な接客に重点が置かれるので、効率化が後回しにされることはしかたがない部分もあります。
しかし丁寧な接客と効率化は必ずしも矛盾する要素ではないのです。
接客は丁寧に、バックヤードは効率重視で!
お客に対する接客は丁寧にするとしても、厨房などのお客に見えない部分は効率的に改善可能です。
私は色々なお店で食事をするたびに「ここはもっと改善できる」と心の中で勝手に改善策を考えていましたが、冒頭の洋食屋では私が考える以上の凄まじい効率化でお店を回していたのです!
店作りの段階で決まる効率化!
まず、お店にはテーブル席がなくカウンターが10席あるだけです。そしてオーナーシェフが1人厨房にいるだけです。
全てカウンター席なので料理を運ぶ手間がありません。これは店作りの段階で効率化に対する決意がなければできることではありません。
テーブル席があればホール係として1名必要になります。その1名の人件費は馬鹿になりませんし、休まれた場合を考えるともう1名必要かもしれません。
しかしカウンター席だけならシェフ1人で充分なのです。
自信のメニューで勝負する3つのメリット!
料理はオムライス2種類とパスタが2種類、そしてハンバーグしかありません。メニュー表もシンプルで、他にソフトドリンクがある程度です。
それらの料理にはサラダとカップスープが付いています。
これなら客側も店側も迷いようがありません。オーダーミスも発生しません。
余計なメニューがないのでお店としても洋食の専門店になります。看板に洋食屋と謳っておきながら、なぜかうどんや焼きそばもあるお店がありますが、それでは他店との差別化ができません。
また、メニューが少なければ食材の管理も簡単です。
物ごとはなるべく簡単でシンプルな方がいいと私は考えますが、このお店の場合はまさにその通りなのです。
究極の効率化と時間配分!
そして私が何より感心したこと、それはフライパンが30枚ほどあることです。
オムライスを作り終わったらフライパンは水に漬けておきます。次にハンバーグを作ったら、そのフライパンも水に漬けておきます。
こうして次々とフライパンを使いますが、全て水に漬けておいて全く洗わないのです。
ここにこの店主が考案した究極の効率化があります。
このお店の営業時間は11:30~14:00と17:00~21:00で、ランチタイムの激戦が終わってから食器やフライパンを一気に洗うのです。
ここまで徹底した合理化と仕組み化をすれば、1人でもお店を回せるのです!
尚、さっきたまたま見たテレビで日本料理屋店のドキュメントをやっていましたが、「お皿が足りないから洗って!」とやっていました。
お皿が足りなくなるのはお店がお客でいっぱいということです。それは嬉しい悲鳴ですが、その忙しいときに皿洗いをしていてはサービスに集中できません。
しかしこの洋食屋の場合、洗いものは閉店後にまとめて行います。これによって100%お客へのサービスに力を注げるので、料理の味はもちろん迅速な料理の提供が可能になるのです。
選択と集中!
ここまで洋食屋の徹底した効率化を見てきましたが、「選択と集中」を極限まで追求するとはまさにこのことでしょう。
カウンター席ばかりなので長居するには向きませんが、そもそも味で勝負しているので時間潰しの来客は不用です。長時間いてもらって追加オーダーで稼ぐビジネスモデルではないのです。
また、初期投資で大量の食器とフライパンを買うことで、その後の運営が超効率的になっています。
メニューも絞りに絞り込むことで、やはりここでもお客を「選択」しているのです。もちろん食材の管理やロスも最小限で済みます。
先述の通り、味やサービスと効率は両立できるのです。
サービス業だから効率化はサービスの低下につながると諦めてはいけません。
仕組みを考え抜けば、必ず効率化のヒントがあるのです。
ビジネスの仕組みは業種を問わない!
この洋食屋のオーナーシェフはビジネス書を多読しているのではないでしょうか?
経営とは関係ないスポーツ選手でもビジネス書を多読している人がいます。ビジネス書を読むことでモチベーションを上げたりスポーツに応用できることがあるからだそうです。
この店主もビジネス書を多読した末に、このお店の構造や仕組みに辿り着いたのではないかと勝手な想像をします。しかし逆に全く読んでないとしたら、なぜこの境地に達したかに興味があります(笑)
いずれにせよ、食べた料理の味よりお店の仕組みや効率化で私の頭は満腹になったのでした!
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