商品ニーズの主語は「顧客」で、アポの主語は「自分」で!

ニーズが無いものを売り込む会社や営業パーソンは世の中には未だに多く存在します。
しかしそんなことをしても商品は売れません。また、売れたとしても根性論によるものなので長続きしません。

言うまでもありませんが、顧客は欲しいものしか買いません。もちろん顧客自身が気づかない潜在的なニーズがあるのは事実ですし、それを押さえるのは大切です。

顧客の潜在意識と商品の潜在力を考え、それらを洗練された戦術にできれば結果は出ますが、それができないのに無理やり売ろうとすれば押し売りになります。

「ニーズが無いように見える」のと「ニーズが無い」のは似て非なるものなのです。

 

スポンサーリンク


「お金を払いたくない」からスタートする…!

繰り返しますが、顧客は欲しい物しか買いません。

しかし逆に言えば、嫌われる押し売りをしなくてよいのです。押し売りする暇があったら顧客の立場になって、どんな商品が欲しいかを考え抜けばよいのです。

そうするには「自分が顧客ならこの商品を欲しいか?」かという単純な視点で考えることが大切です。

「たくさん作ってしまったから」とか「社内のノルマがあるから」はもちろんダメですが、「○○だったら買いたいよなぁ」などと、自分に都合の良い条件を持ち出すのもダメです。

むしろ「お金を払いたくない」という考えからスタートする必要があります。
もっと言えば「ビタ1円お金を払いたくない」と考え、それでも「お金を払ってでも欲しい」と思えるものが「売れる商品」になります。

それくらいシビアに追求してこそ、「顧客」を主語にしてものを考えていることになるのです。

アポの打診は「自分」の都合優先で!

このように、全ての商売は顧客が存在することで成り立っています。強制的に徴税するわけではないので、どんな商売であろうと顧客が存在し、顧客に買ってもらってはじめて収益になるのです。

尚、「顧客」は企業かもしれないし個人かもしれません。また、様々な契約形態がありますが、それでも売り手←→買い手の構図は不変です。

このように「顧客を主語にして考えてみること」は商売の鉄則です。しかしこれは商品ニーズに関してのみ言えることで例外もあるのです。

例えば顧客に対して行うアポの打診ですが、これは「自分」が主語の方がうまくいくのです。

「(私は)○月○日なら空いてますよ」、「(私は)○月○日か△月△日が空いているのですが、いかがですか」…このように、先に「私」の都合を提示して調整するスタイルが最も効率的なアポの取り方なのです。

逆に、先に顧客の都合を聞いてしまうと「ノー」が言いづらくなり、なし崩し的に受けてしまい、最終的に身動きが取れなくなります。

スケジュールには空白が大切!

また、いくら顧客第一だからと言って、身動きが取れないくらいスケジュールがびっしりというのでは、かえって顧客第一の目標から遠くなってしまいます。

せっかく顧客のところでもらった「宿題」をする時間がありません。

例えば9/5の夕方、顧客のA氏と打ち合わせをして宿題をもらった。
しかし9/6は朝から晩までぎっしりアポがあって身動きが取れない。
9/7の朝は空いているが、そこに別の予定が入ってしまった。
するとA氏が依頼した宿題は最短でも9/7の昼過ぎからようやく着手できる、となるわけです。

また、詰め過ぎたスケジュールでは急ぎの仕事に対応できません。腰を据えてやりたい重要な仕事もできません。

私はあるときから、スケジュールがぎっしりで忙しいのは自己満足であって、顧客にとってはデメリットだということに気付いてから、かなりスカスカなスケジュールにしています。

具体的には手帳に空白(=アポを入れない時間)を意図的に作るようにするのです。

そのためにはアポの打診の主語を「自分」にするのです。

もちろん「どうしてもこの日がいい」という顧客はその都合に合わせますが、基本的にこちらから「○月○日はいかがでしょうか?」と打診するようにお話しするのです。

決して「いつでもいいですよ」という言い方はしないように、あくまでこちらが主導でアポを入れるようにします。

アポ以外でも、「自分」を主語に考える!

過剰なサービスや「値上げ無しでの仕様の追加」もそうです。これらは全て「良かれと思って」「お客様は神様だから」「顧客第一」に基いてやってしまうことですが、厳しく言えば相手に振り回されているだけなのです。

顧客相手なので時に柔軟に対応すべきですが、基本的にこちら主導で振り回されないように心がける必要があります。

顧客からの値引き依頼も「ちょっと負けといてよ」というニュアンスのものから「これだけの値引きがないと買わない(買えない)」というものまで様々です。

しかし「お客様は神様」の論理だけで仕事をしていると、全ての値引き依頼にいい顔をしてしまい、適正な利益率が見込めない商売ばかりになって本末転倒です。

管理やバックヤードでの流儀

家電メーカーでは商品の製造中止後、部品の保有期間が○年と決まっています。これは製造中止になった商品の部品を際限無く保有しておくと、設備や倉庫があまりにも非効率になるからです。

言葉通り超厳密に「顧客第一」であれば、最後のひとりの顧客がその機器を捨てるまで部品を保有しなければなりません。もちろんこれは極論ですが、文字通り顧客のためというならそうなります。しかしそんな話は聞いたことがありません。つまりどこの会社もバックヤードでは「効率」を優先しているのです。

しかし例外もあります。超高級商品を扱うメーカーでは、製造終了後30年のモデルでも修理を受け付けると聞きます。

これは戦略として「あえて非効率的なこと」をやっているから良いのです。ユーザーはメーカーのそうした姿勢に心打たれてファンになるのです。

問題は深い考えも無しに、やみくもにサービスすることです。そんなことでは感謝もされずファンも付かず、単に非効率化が進んで生産性を下げるだけです。

なので管理やバックヤードでは「自分」、つまり会社都合を優先すべきなのです。

商品ニーズの主語は「顧客」で考え、アポや管理の主語は「自分」で考える。

…この基本を押さえた上で、更に強い覚悟と緻密な戦略で「あえて非効率なこと」をするのなら、それはとても素晴らしいことと言えるでしょう!

スポンサーリンク


スポンサーリンク

 

サブコンテンツ

このページの先頭へ