人間の特性を見極め、仕事に活かす
仕事とは人間同士が関わり合って、ひとつのことを成し遂げるものです。今ではPCでネットやメールを使い、人と会わずに仕事ができる時代になりましたが、それでもネットの向こうにいるのは人間です。
なので人間の行動様式や特性を理解することで、よりあなたの仕事のクオリティが向上するのです。
誰もが普段は忙しいので、そんな抽象的なことを考える余裕はありませんが、それでもたまには人間というものを深く考えることで、のちの仕事に活きてくるのです。
人間の特性
ここでは人間の基本的な特性を考えたいと思います。
これはあくまで非常に大ざっぱなものであり、深く掘り下げるには書籍にして何十冊も必要になってしまいます。そもそも大昔から作家や哲学者が考え抜いてもまだ分からないのが人間なのです。
しかしそれでも、仕事をするうえで覚えておくべき人間の特性を以下で考えたいと思います。
人間はラクな方へ流れる!
スーツを着て満員電車に乗り、毎日定時出社を目指す世界一勤勉な日本のビジネスパーソンですが、しかしそんな勤勉なビジネスパーソンであっても実は常にラクな方へ、ラクな方へと流れているのです。
「毎日勤勉に会社に通う」のは大枠で見た場合です。確かにそこには勤勉さがあります。しかし人間は小さなことではラクな方へラクな方へと流れるようにできているのです。
例えばメモすべきことを「ま、覚えてられるだろうからいいや」とメモしなかったり、今日中に電話すべき用件を「明日でいいか」と言って先延ばしにしたり、お礼のメールをした方がいいのにしなかったりと、毎日小さな面倒ごとをうやむやにして過ごしているものです。
しかしそれこそが人間の特性と言えます。もちろん個人差はありますが、それでも人間はラクな方へ、ラクな方へと流れるようにできているというのが基本的な私の人間観です。
損したくない
人間は得したいという気持ち以上に損することを嫌います。リスクを回避したいのは人間はもちろん、全ての生命体が遺伝子レベルで持っている欲求です。これは荒々しい自然環境で生きている者たちにとって、リスク=生命の危機に直結するからです。
しかし現代の日本、特に都市に生きる人間には自然の厳しさや危険に晒されることはほとんどありません。それでもリスク回避の欲求は遺伝子レベルで組み込まれているので、なかなかリスクをとれません。
多くの人はチャンスを目の前にしても新しいことにチャレンジする気持ちが霞んでしまいます。とりあえず現状維持しておけばリスクがないからです。
しかしそれでは現状は改善されません。
怠惰でどうしようもない人間を動かすのは制度である!
…このように人間は怠惰でチャレンジを嫌うのが基本です。「人間は向上心を持って生きるべき」とか「何ごともチャレンジすることが大切だ」という意見は私も賛成ですが、しかしそれでは人間は動きません。
その証拠に、どこの会社でも壁にはその手のスローガンが貼られていますが、その通りに社員が動いているかといえばそんなことはないからです。
だからいくら立派なスローガンを掲げてもムダだというのが私の考えです。しかしスローガンではなく人間の特性をよく理解した上で「制度」を作れば面白いほど人間を動かすことができるのです。
現実的に人間を見つめた末の結論…!
辣腕弁護士・中坊公平は「正面の理、側面の情、背後の恐怖」という言葉を遺しました。人間は理路整然とした理由や理屈だけでは動かないため、愛情や人を思いやる気持ちも添える必要がある。しかしそれでも動かない者にはペナルティや制裁という恐怖で対応しなければならない。
…人間の本質を捉えた言葉ですが、多くの組織ではこのどれかひとつに偏っていることがほとんどです。
「理」だけではギスギスした組織になるし、「情」だけでは単なる仲良しクラブです。「恐怖」だけでは上辺だけへつらう人間ばかりになり、非常に脆弱な組織になります。
ゆえに「理」「情」「恐怖」のどれかひとつだけでは組織運営はできません。
だからこそ中坊は、この3つをバランス良く取り入れることが必要だと言ったのです。
人間を知った上で制度で誘導する!
制度を作るには人間を熟知しなければなりません。
硬直化した制度を作っても、それは壁に貼られたスローガンと同じように機能しないものになるでしょう。
人間の本質を理解した上で、うまく人間を誘導する制度を作る…、非常に難しいことですが、その制度がうまく機能すればムリなく多くの人を幸せにできるのです!
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