セクショナリズムを解決する唯一の方法

セクショナリズム(=部門間どうしの排他主義)はどの組織にもある病巣です。部署ごとでは素晴らしいパフォーマンスを発揮していても、組織全体になると部署同士の都合(=エゴ)でうまく回らない…、こんな例は日本中の組織で見られます。

しかし人間である以上、自分がかわいいのはしかたのないことなのです。それなのに「各部署で協力しないと…」などと言っても、それは虚しいお説教になるだけです。

 

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悪いのは人間ではなく、人をかたくなにさせる制度

部署ごとに売上目標や在庫削減目標を持っていれば、それを達成することが何よりも重要な使命になります。

よほどトップダウンで命令を下さない限り、通常は部署の利益を最優先に考えて仕事をするのが当然です。

しかしそれでは組織全体で最適化されません。そこでお説教をする変わりに、人を動かす制度を設計してほしいのです。

営業部なら単に売上目標だけではなく、在庫削減に貢献したことも数字として評価する制度を導入します。そうすれば、それも部署のメリットになるので進んで在庫削減に協力するようになります。

もちろん営業は売上を作ってナンボです。なのであくまで第1目標は売上を、第2目標として在庫削減への貢献度合いを数字として評価するのです。

このときに大切なのは、あくまで数字で評価することです。単に「今月はこれだけ在庫削減に協力してくれたね」というだけではダメです。具体的な数字として評価して初めて制度が機能するのです。

国は制度で国民を動かしている!

少し話が大きくなりますが、国の政策を観察すれば制度設計の大切さがよく分かります。

日本は自由主義・民主主義・資本主義の3本柱ですが、この壮大な制度・仕組みのおかげで私たちの生活は気づかないうちに豊かなものになっています。

自由主義国家の法律は「○○してはならない」というのが基本です。「○○しなさい」というのは独裁国家の法律です。

例えば「○○国家主席をあがめなさい」という規則は法律のように見えて実は「命令」であり、独裁国家ならではです。こんな法律は自由主義国家ではあり得ないのです。

逆に自由主義国家の法律は「○○してはならない」であり、それ以外のことは自由にできる権利があります。

交通ルールさえ守ればドライブでどこへ行こうと自由ですし、他人の生命・財産・名誉を侵害しなければ商売も恋愛も発言も自由です。

また、国家の仕組みに「税」があります。減税すれば消費が拡大しますが、これは国が国民に「たくさん消費するように!」と命令したからそうなるわけではありません。

減税によって多くの人の財布にゆとりができ、結果として国民が勝手に消費に走ることで消費が拡大したのです。

金利の調整も同じです。こうして政府は上手に(とも限りませんが)私たちをコントロールしています。

人間は自分の利益にのみ正直だからこそ…

繰り返しますが、日本は自由主義国家なので国民に命令できません。

しかしそんな日本でも、会社組織になると途端に命令によって人を動かそうとしてしまいます。しかし人間はいくら命令されても自分にメリットがないことは絶対にやりません。

表面上は従う振りをしても、上が見ていないところでは自分にメリットがあるように動くのです。

国がいつの間にか私たちをコントロールしているように、会社組織でも上手に制度を作って部署や社員をコントロールする必要があります。

そうすれば口うるさく説教しなくても、勝手に部署や社員が動いてくれます。

部署同士の話し合いでは絶対に調整できない!!

なので、いくら部署同士が話し合いを重ねたところで、その話し合いは各部署の都合(=エゴ)の言い合いに始終するのでムダに終わります。

部署よりも上の層(となると通常は役員レベル)が制度を作るしかないのです。
また、その制度はトライ&エラーで作るしかありません。

国が増税や減税を繰り返したり金利を上げ下げするのも、単に景気動向に基づいて行っているのではなくトライ&エラーでもあるのです。

セクショナリズムを解決できるのは部署よりも上の立場の人だけです。これはとても大切で本質的なことなので、そのことを理解したうえで上手に制度設計してほしいと思います。

制度設計が成功して組織として最適化されれば、ひとりひとりが満足できる組織になるでしょう!

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