気まずい、穏便に、では商談にならない!
ある営業マンのA氏は「それはちょっと気まずい話になりますよね」と私に言います。
A氏は「気まずい」という語句を使って話をします。その話とは、A氏が顧客に対して値上げ要求をするものでしたが、理由ある値上げなら「気まずい」もなにも申し入れて当然の話なので、私は不思議な気持ちでA氏の話を聞いていました。
しかしA氏は「気まずいから」という理由で、顧客との話し合いを回避したい様子なのです。
苦しい戦いだとしても…
もちろん営業パーソンであれば、顧客に値上げ要求するのは大変な話です。なかにはロクに話も聞かずに逆上する顧客もいるからです。
ただ、そうだとしても値上げすべき理由があれば、それは正当な要求です。また、理由を説明して値上げを了承してもらうことも営業パーソンの仕事なのです。
それなのにA氏は「気まずい」「気まずい」と言っているのです。
言葉の罠
通常「気まずい」状況は避けるべきものです。顧客以外の関係でも、気まずい雰囲気、気まずい関係は避けたいものです。
しかし値上げの要求は「商談」です。商談の本質は戦いです。相反する利益を求める売り手と買い手が何とか折り合いをつけようとしのぎを削るのが商談という鉄火場なのです。
そんな鉄火場で「気まずいから」と言うこと自体がおかしいのです。
しかしA氏はしきりに「気まずいから」と便利な言葉を使って、問題の本質に向き合わずに自分をごまかしているのです。
「穏便に」は思考停止の言葉だ!
また、これと同じく「穏便に」という言葉もあります。もちろん事故やトラブルを起こしてしまった場合、私も「穏便に」と思います。
しかし商談の場でも「穏便に」と考えている人が多くいるのです。
その結果、本来は戦って勝ち取る条件を提示せずにウヤムヤにしたり、値上げを言い出せずに相手の言いなりになっているのです。
たしかに「穏便に」話を進めれば、相手はニコニコ顔であなたに接してくれます。
逆に厳しい条件を相手に飲ませた場合、あなたは嫌みのひとつも言われます。しかしそこで嫌みを言われてナンボの商売なのです。
そもそも穏便では済まない商売の構造!
売り手は1円でも高く売りたい、買い手は1円でも安く買いたいので、軋轢(あつれき)が生まれて当然です。
むしろ全く軋轢が生まれないのは売り手としての責任を果たしていない、戦っていない証拠とさえ言えます。
しかし「気まずさを回避して」「穏便に」客先との関係を保っている営業パーソンは世の中に驚くほど多くいるのです。
商談は戦ってナンボです。もちろん法や倫理、礼儀を大切にするのは言うまでもありませんが、商談自体は自由な取引なのです。
だからこそ自由に条件を提示して健全な成果を勝ち取ることを心がけてほしいのです!
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