マニュアル化=悪、ではない!

私は全ての仕事をマニュアル化すべきだと考えています。どんな些細なことでもマニュアル化したほうがいいと考えています。

しかし世の中では「マニュアル化=悪」の風潮があります。ファストフード店での機械的な対応が批判されるのはよくあることですが、本当にその批判は正しいのでしょうか?

 

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ファストフード店における悲喜劇

世の中には完璧なマニュアルがないことで機械的な対応になったり融通が利かなかったりで揉めごとが起こります。ときには「珍事」と言えるおかしなことも起こります。

ファストフード店でお客様がハンバーガー30個を注文します。普通に考えれば「持ち帰り」です。しかし本部からマニュアル通りの接客を強いられている店員は「店内でお召し上がりでしょうか? それともお持ち帰りでしょうか?」と聞かなければならず、お客に怒られてしまいます。

この場合、10個以上注文のお客様には「お持ち帰りのご用意を致します」と言うようにマニュアルを刷新すれば良いのです。そうすれば30個ものハンバーガーを目の前にして「店内でお召し上がりでしょうか?」と聞かなくて済みます。

もっと言えば、そう聞く基準が10個以上では多すぎかもしれません。5個以上で聞いた方が良いかもしれません。この基準もマニュアルを刷新し続ければ現実に合ったものになります。

マニュアルで大切なのは「現実に即しているか?」なので、絶えずマニュアルの刷新を続け、マニュアルが独り歩きしても仕事が回るようにする…、これが真のマニュアル作成術です。

危険を伴う仕事はマニュアル厳守が当然

警察や消防、病院や航空会社には多くのマニュアルがあります。それは命の危険があったり命を預かる職業だからです。各々の勝手な判断や良かれと思ってやったことでさえ命取りになる危険があるので、過去の失敗や多くの経験から業務をマニュアル化しているのです。

一見、無意味な決まりでも過去の教訓から制定されていて、いち職員が勝手に変えたり無視することはできません。

ひとつのミスが大きな損害になる仕事でも厳格さが求められます。その厳格さは決まりや規則=マニュアルになってその仕事に定着します。

強い組織を作るために!

一方、マニュアルが無いと各自が勝手な行動をして失敗する確率が上がります。その失敗をマニュアル化すれば「失敗も宝」ですが、マニュアル化を毛嫌いしたり面倒がっていては、ずっと失敗することになります。

また、失敗して経験を積んだ人は良いとして、それを新人に伝達できません。マニュアルがなければ組織として弱いのです。それは背骨がない動物や大黒柱がない民家のようなものです。

組織であればマニュアルを背骨や大黒柱と思って磨き続ける必要があります。

個人でもマニュアルは必要

人間はすぐに忘れる生き物なので、個人でもマニュアルは必要です。記憶力が良くてもいつかは忘れるので記憶より記録に頼るべきです。マニュアルの良いところ、それは一度作ればその手法が通じなくなるまで半永久的に使えることです。

「マニュアル人間」が悪なら、解説を添えて細かく作り込んで「マニュアル人間化」を回避すればよいのです。

最初からマニュアルがないことを良しとするべきではありません。それは悪質な開き直りです。しっかりしたマニュアルを作ってから「どう使いこなすか?」という視点に立つべきです。

仕事の手離れを良くするために

マニュアルがないと仕事の手離れが悪くなります。新人や社外の人に仕事を任せるときに人が付きっきりで仕事を教えなければなりません。

私が見渡す限りではマニュアルを作らず付きっきりで教えるのが「仕事だ」と信じている人が多くいますが、まずはその意識を変える必要があります。

たとえば仕事を教えるにしても「マニュアル+口頭」での指導が効果的です。マニュアルで70%を伝え、残り30%は口頭で教えるのです。それこそ真の指導と言えます。そしてそれは教える側・教わる側の双方にメリットがあるのです。

段取り上手は仕事上手

…こんな言葉を聞いたことがあると思います。また「段取り八分」という言葉もあります。仕事ができる職人は道具の手入れを怠りません。その職人が別の職人の道具を見れば、どれくらい仕事ができる職人か分かると言います。このように段取りが仕事の出来・不出来を決めてしまうのです。

準備や段取り・環境整備には惜しみなく時間をかけるべきですが、世の中の会社ではそれらを軽視するところが多すぎます。大した準備も無く物ごとを始めて失敗するケースが多いのです。

そんなことでは偶然うまく行くことはあっても、多くは失敗したり余計面倒なことになったりして時間と労力を浪費してしまいます。

私自身、数々の失敗と経験を経て、段取りや準備・環境整備の大切さが分かった過去があります。なので段取り・準備・環境整備には惜しみなく時間とエネルギーをかけるようにしています。

段取りや環境整備、そしてマニュアル化は悪どころか仕事においてもっとも行ってほしいことです。
一度、普段の仕事の流れを止めてでも、あなたの身の回りを見直してみましょう!

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