なぜ巨大な格差が生まれたのか?

経済格差をはじめとするあらゆる格差が問題になっている現代ですが、なぜ格差が生まれるのか、あなたは深く考えたことがありますか?

「あの人はできる人だから」とか「あの人は才能があるから」と言っても、人間の能力に大差はありません。ある人はフルマラソンを30分で完走できるかというと、そんなことはあり得ないのです。

物ごとにもよりますが、人間の能力差はせいぜい1.5倍か2倍、あるいは3~4倍です。それは身長や体重でもそうですし、その他の身体的特徴・能力的特徴でも同じです。

 

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ではなぜ格差が生まれたのか?

もともと人間の生産性は同じようなものでした。原始時代、狩りで獲物を1匹仕留める男と10匹仕留める男とでは生産性の違いは10倍ですが、現代のように資産ベースで数億倍・数兆倍もの違いが生まれることの説明がつきません。

今現在の大資産家と貧困にあえぐ人でも、身体的特徴や能力的特徴が数億倍も違うはずがないのです。

しかし人間は「道具」を使います。この道具によってレバレッジ(=テコの原理)がかかり、最大で数兆倍の格差がついたのです。

その道具とは「知識」であり「パソコン」であり「組織」です。

知識社会では道具を使いこなせば圧勝できる!

現代社会は道具を使いこなす知識の有無が大きな差になって現れます。エクセルを使えば57491×6883×83514といった掛け算でも数秒で計算できます。

この掛け算をするのにA氏はエクセルで、B氏はそろばんで、C氏は紙と鉛筆で…、これでは速さが段違いになってしまいます。

計算の速さは仕事の速さにつながり、仕事の速さは生産性につながります。どんな道具を使うか、いかにして道具を使いこなすかで生産性は大きく変わり、それが格差を生むのです。

「組織」という社会的な仕組み

更に大きなレバレッジをかける道具は「組織」です。組織では自分(=経営者)の代わりに人に働いてもらい、経営者はその上がりを得て富を増殖させています。

経営者は富だけではなくリスクも取っているので、富を得る構造自体は不当ではありません。ここで言いたいのはそんな善悪論ではなく、世界一優秀な経営者であっても、たったひとりの力ではレバレッジはかからないということです。

100人の従業員が100円の利益を生み出せば10,000円ですが、10,000人が100円の利益を生めば1,000,000円にもなります。

リスクが大きい分、リターンも大きい「借金」

あまり知られていませんが「借金」もレバレッジが効きます。私たちは借金するなと教育されて育ちますが、事業を拡大する上での借金は欠かせないものなのです。

手持ち資金100万円を投資して利回りが10%なら、10万円のプラスです。

しかし手持ち資金100万円に借金900万円で1,000万円を作り、それを投資して利回り10%なら100万円が手に入ります。そこから借金の金利が3%として27万円を返し、借金自体の900万円も返せば最終的に73万円が純利益になります。

  • 借金無しで100万円を投資して10万円の純利益
  • 借金込みで1,000万円を投資して73万円の純利益

遊興費の借金は単なる負債ですが、事業や投資の借金はプラスのレバレッジがかかります。うまく行かないとマイナスのレバレッジがかかるので当然、リスクもありますが。

誰しも生身の人間…だけど

このように「知識」でも「パソコン」でも「組織」でも「借金」でも、とにかく「いかに道具を使ってレバレッジをかけるか」で、人より多くを稼ぎ出すことができるのです。

世界一の資産家は約10兆円の資産を保有しています。世界には資産ゼロの人もいるので単純計算で10兆倍もの格差になります。

しかし格差の原因を資本家や政治家、新自由主義者だけに求めていては、格差の本質は見抜けません。

富裕層が自らに有利なルールを作ったり強欲なこともありますが、それだけではこの巨大な格差は説明できないのです。

どんな大資産家や大企業の社長でも、しょせんは人間です。格差の頂点にいる彼らですが、神の生まれ変わりでも悪魔の化身でもなく生身の人間なのです。

私は基本的に人間の能力はさほど変わらないと考えています。環境や遺伝による能力差はありますが、誰しも生身の人間に違いないからです。

巨大な格差の正体、それは人間の能力だけでなく、道具や社会構造の飛躍的な進化を抜きにしては語れないのです。

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